台湾研究者。
日本名は出田康一郎。
専門は台湾思想・台湾文化論。
1981年東京生まれ。
東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。
國立台灣師範大學台灣語文學系碩士班在籍中。
2011年から台湾在住。
短歌の面白さを、ここでは誰とも共有できなくて寂しい。
また雨になりそうだ。この街は年中こんな調子で、気づけばそれを当然のものとして受け入れている。
いずれ帰る「故郷」はすでに色あせた過去の中にしかなく、時折無縁仏を祀った路傍の有応公祠がひどく優しげに見えた。
話すということは、自分が話せないということを思い知らされることでもある。母語であれば、言葉に込めた意味が他者に完全に伝わることはやはりないにしても、少なくとも言葉を尽くすことで、やれることはやったという感覚は生まれる。
どうにも電話が苦手だ。多分、一生苦手なままだろう。
久々に手を動かして自分のポートフォリオサイトを作り直す。自分のためのものというのは、手を抜こうと思えばいくらでも抜けてしまう。そうして面倒だからと諦めてきた諸々を、AIが具現化してくれるのは楽しい。
提灯が新しいものに変わり、より赤赤しくなった近所の廟。建宮六十周年記念だそうだ。
私たち一人一人は自分の力で他者の発見をやりなおさなければならない。以前の経験がそれを免れさせることはない。だが以前の経験は、無知の結果がいかなるものかを私たちに教えることはできる。
夜更けに台所で湯を沸かしていると、自分が住んでいる土地のことをずっと知らないままだったのではないか、と唐突に思う瞬間がある。
文化論という態度は、結論を急ぐと別の何かに変質してしまう。むしろ判断を保留すること自体が、ひとつの方法論なのだろうと最近思う。
指先から生まれたものたちは、わたしより長く息をする。
わたしが忘れてしまった後も、誰かの本棚で、引き出しの奥で、静かに目を覚ましたままでいる。
それを思うと、生み出す手がときどき震える。
論文
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